ひとくち健康講座

筋力トレーニングの話

2019年8月

 高齢化が進む日本で、社会問題になりつつあるのがサルコペニアと骨粗しょう症です。サルコペニアは加齢に伴う筋量・筋力の減少を、骨粗しょう症は骨強度の低下をそれぞれ指します。サルコペニアや骨粗しょう症が進むと、転倒して骨折したことで寝たきりになり、結果として認知症が進行してしまうことがあります。こうした悪い流れを未然に防ぐためには、筋力トレーニングが大きな役割を果たします。
 ある研究では60歳前後の男女に筋力トレーニングを行わせたところ、10週間で平均7から8%もの筋量の増加が確認されました。また、筋力トレーニングを行うことで、骨形成を阻害するタンパク質が減少し、骨形成を促す因子の分泌量が増加することが明らかとなっています。筋力トレーニングによる脊柱・骨盤の骨量増加の報告もあります。さらに、筋力トレーニングには認知機能の維持向上の効果も認められています。継続的な運動習慣を身に付けることで、健康で長生きできる体をつくりましょう。

吉岡病院  大石 隆太