ひとくち健康講座

笑わない膝

2005年2月

 新たな年の幕開けは、期待と心地良い緊張感でいっぱいです。何事も始めが肝心という言葉もありますが、歩き始めの膝関節痛には要注意、「変形性膝関節症」の兆候です。膝関節はより内側に体重がかかり、軟骨が減りやすい構造のため、動作始めの膝内側痛が初発症状になります。年齢とともに徐々に軟骨破壊が進行しますが、軟骨再生法はいまだに確立されておらず、末期では人工関節手術に頼らざるを得ません。内服薬、温熱療法、関節注射などの治療がありますが、何より早期予防が重要です。初期であれば、関節周囲の筋力アップ(散歩などの自己流は逆効果の場合があります)や装具による膝のバランス改善が有効です。また、膝関節痛の原因は変形性のほか、骨壊死や感染性疾患、半月板や靭帯損傷、骨腫瘍、腰や股関節の関節痛などさまざまで、治療法も異なります。関節痛が気になったときは、早めの受診をお勧めします。

吉岡病院  佐藤 大祐