ひとくち健康講座

「終末期」医療への備えについて

2019年5月

 介護老人保健施設に入所中の高齢の方の多くは、さまざまな病気や認知症、体の動きの悪化、特に嚥下障害(物を飲み込む機能の障害)を抱えています。医療・介護のスタッフは機能維持・改善に日々取り組んでいますが、リハビリや医療にも限界があります。そして、その限界が来た後にどうすべきかという問題があります。
 認知症が悪化して意思疎通が困難になった上に嚥下障害が悪化して口からの食事の摂取が極めて困難になった患者さんの場合、例えば肺炎などを合併した際には「積極的治療がかえって患者の苦痛を長引かせ、尊厳を損なう」とする考え方もあり得ます。一概に積極的治療が悪いわけではなく、(胃瘻造設の是非などを含め)治療の是非は患者本人が自分の価値観で決めるべきですが、本人は既に判断能力がなく、多くの場合は家族が悩むことになるのが実情です。
 自分の「終末期」医療をどう希望するか、元気な時から考えて家族で話し合っておくことが大切だと思います。

クリニックあこがれ  大島 裕紀