ひとくち健康講座

整形外科医から見た肥満

2006年4月

 肥満というと、成人病でよく話題になりますが、関節にとっては、直接の障害になります。てこの原理で、その支点たる関節には体重の何倍もの負担がかかるからです。<br> 私は、人はなぜ太るのか、その理由を考えたことがあります。理由の一つは、何年もかけて、ゆっくりと体重が増えるからだと思います。この“ゆっくり”という点がポイントです。五年前と比べて、十キロ太ったのではありません、十キロ太るのに、五年を要したということなのです。<br> “ゆっくり”とはどういうことか、理解するのは簡単です。“いきなり”太ればよいのです。<br> 腰のベルトに三キロの重りをつけて、一時間も家事をしてみましょう。「十キロ太る」ということは、十キロの米袋を腰に巻いているのと同じことなのです。みなさん想像してみてください。これだけで、減量をする気になれますよ。

吉岡病院  阿部 博